一般的な「伝統工芸」などの呼び方とは別に、「伝統的工芸品」という呼称があります。
1974年に公布された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、経済産業大臣が指定した工芸品を取得します。
１．ホストとして日常生活の供されるものであること。
冠婚葬祭や節句などのように、一生あるいは年に夫婦の行事でも、生活に密着し一般家庭で使われる場合は、「日常生活」に含まれます。
工芸品は「用の美」ともいわれ、長い間の目や手に触れることで、使いやすさや完成度を決定します。また色・紋様・形は、日本の生活慣習や文化的な背景とも深く関わっています。
２．その製造過程の主要部分が手工業的であること。
すべて手作りであっても差し支えありませんが、製品の品質、形態、デザインなど、製品の特長や持ち味を継承する工程は｢手作り｣が条件です。持ち味が損なわれないような補助的な工程には、機械を導入することが望ましいです。
製品の一つ一つが人の手に触れる工程を経時的に、人間工学的にも妥当な寸法や形状となり、安全性も備えています。
３．技術により製造されるものであること。
伝統的とはおよそ100年間以上の継続が含まれています。工芸品の技術、技法は、100年間以上、多くの作り手の試行錯誤や改良を経て初めて確立していると考えられています。技術と技法は一体不可分なものですが、どちらかといえば技術は、「技術を磨く」と言われていますように「一人一人の製造手の技量」「精度」に関わりが強く、技法は「原材料の選択から製法に至るノウハウの歴史的な積み重ね」に関わるものとできます。
伝統的テクノロジーは、昔からの方法をそのままでなく、変化や製品の特長を変えることがなければ、改善や発展は支えられません。
伝統的に使用してきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること。
3.同様に、100年間以上の継続を意味し、長い間吟味された、人と自然にやさしい材料が使われます。なお、既に枯渇したものや入手が極めて困難な原材料もあり、その場合は、持ち味を変えない範囲で同種の原材料に転換することは、伝統的であるとされます。
一定の地域において、あまり人数が多くない人が製造業に従事しているものである。
一定の地域、ある程度の規模の製造業者があり、地域産業として成立している必要があります。ある程度の規模とは、10 企業以上または 30 人以上が想定されています。個々の企業だけでなく、産地全体の自信と責任に裏付けられた信頼性があります。
野依柚月
