仏具とは、仏教において仏様を荘厳するための道具のことで、愛知県名古屋市を中心に製造されているのが「尾張仏具」です。
尾張仏具は日本の伝統的工芸品に指定されており、純粋な漆塗り製品が中心で、細分化された多種多様な技術・技法で様々な仏具に対応できるようになっています。
また、ひとつひとつ木材や漆が異っても、同じ品質に仕上げる、高い技術力を持っています。
寺院用仏具は一般家庭の仏具(仏壇用)と違い、大きさも大きく、宗派によって荘厳の仕方や使用する仏具も異なるため、現在では職人が技術を継承し製造に携わっています。
相変わらず木魚と丸金台の生産を行っているのは、日本全国でここ尾張地区だけです。
300年以上の歴史がある「尾張仏具」ですが、ライフスタイルの変化で仏壇・宗教離れが親しく、仏具の需要が減少、職人も激減、同業者が次々と廃業するのが目の当たりにしました。
「このままでは技術が途絶えてしまう。伝統技術を守りたい。」
という思いから、身近に感じていただけるように、伝統技法を活かしたアクセサリーやジュエリー、インテリア小物等の制作販売事業「 Wayuan 和悠庵」を開始しました。
<歴史>
1609年名古屋城築城を契機として城下町の南端(大須・橘町周辺)に寺院を集中させる「南寺町」を完成させ、その寺院の建造に携わった宮大工(神社、寺院を専門に作る大工)がのちに転身し仏具作りが始まりました。
良質な木曽檜が木曽川から伊勢湾に下り、堀川より名古屋に集められたことから、木に漆を塗った仏具づくりの基盤が整い、江戸時代後期( 1800年頃)には下級武士の内職として発達し、多種多様な製品が大量に作られるようになりました。
さらに明治期( 1800年後半)以降は、専門性の高い技術が分業化(木地師・仏師・塗師・彩色師・箔置き師・錺師など)され、より量産性が増し品質良好と評価されました。
また、尾張地域が日本の中心にあることで全国に広く流通するようになりました。
と言われております。
野依柚月